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ジョー・ブラックをよろしくのNMのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ひねりなどのないとてもシンプルな話だが、ラストは少しだけ意外で驚く。誰でも好きな話。恋愛映画という位置にはなるが色んな要素がある。
人間界に興味を持った死神が、最初で最後の冒険をする。興味だけで行動する彼と、そうではない人間たち。
ほっこりストーリーだが一応ベッドシーンがあるので家族で観るときは注意。

パーティーのため奔走している長女はいかにも箱入り娘という性格だがとても健気で少しだけ寂しい、素敵な人だった。
橋を渡る様子とエンディングテーマがリンクしていて良かった。

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精力的に仕事をこなし会社を大きくしてきた富豪ビル・パリッシュ。
近く合併の話が進んでいる。
大規模な65歳の誕生パーティーも間近。

末娘のスーザンは、ビルの右腕であるドリューと恋仲。
だが娘に恋い焦がれるような様子がないことを訝しみ、本当に愛しているのか疑問に思っていた。
私と亡き妻のような、胸を震わす恋の情熱こそ生きることなのに。

時折激しい胸の痛みを感じていたビルの前に、死神が現れた。
そして死神は寿命を少し延長する代わりに、この世を案内するよう頼んできた。
有無を言わせぬ雰囲気に、ビルは全てを受け入れる。
死神は今回の仕事のついでに少しサボりたかったらしい。

そして最初の指示。僕も食事に混ぜろと言ってきた。
家族に心配させるわけにはいかない。食卓の家族たちにはとっさに友人のジョー・ブラックだと紹介した。

このジョー、死を司る仕事はしているものの、性格はまるで人間の子ども。人間界を体験するのは初めてで、見るもの全てに興味津々。目を輝かせ屋敷を探検してまわる。
ピーナツバターがとても気に入った。
今日からこの家に泊まると言う。

ジョーが身体を乗っ取った男は、今朝この家の末娘スーザンと出会い恋に落ち、その想いを伝えたところだった。
彼女も好印象を持った。ドリューには感じない気持ち。
しかし二人が別れた直後、ジョーの人間界体験ツアーという目的のために車が彼に追突したのだった。

ジョーは二人の事情など知らないが、スーザンと話すうち友達になりたいと思った。
ジョーは悪気もないが良心もなく、身体の元持ち主の人生とか、自分が入り込むことでのビルたちへの影響などは考えつかないようす。

ジョーは一緒に会社に行くと言い出した。断れないビル。
といっても特に目的はなくクッキーを食べたりサンドイッチを食べたり。
役員会議にまで同席するので、ごまかすのが大変。
右腕ドリューは、一体ジョーは何者なのかと気が気でない。

ビルは自身の気持ちの整理もしなければならないし、仕事、家族のケア、そしてジョーの世話に追われる。
こうなってみると一日でも娘たちと一緒にいたい。明日もまた食卓を囲みたい。

合併の話も白紙にすることに。一生を捧げた仕事を他人に譲る気になれなくなった。

スーザンは謎めいたジョーにさらに興味を持つ。
それを察知したビルは心配でならない。しかし真相は話せない。
ジョーも彼女に初めての感情をいだき、スーザンと抱擁しあうとえも言われぬ高揚を知った。

突然現れどこにでも社長についてまわり、スーザンとまで仲良くしている彼がドリューは邪魔でしかない。
スーザンを本当には愛していないしビルへの忠誠もないドリューは、この気に乗じて役員たちを説得、ビルを社長から降ろした。
私服を肥やしたいだけの策略であることを他の役員たちは知らない。

ビルは帰宅。
スーザンとジョーの関係は認めるわけにいかない。
彼は去る人だから深く関わらないよう強く叱りつけた。
スーザンも、信頼し愛する父の助言を涙ながらに受け入れた。

ジョーは初めて恋を知り浮かれていたが、ある老人に正体を見抜かれ、あなたはこれ以上滞在せず思い出を持ってあの世へ帰るべきだと諭される。
悩んだ末、旅を終え誕生パーティーのあとビルとこの世を去ることに決めた。

別れを伝えると、スーザンは一緒にいたいと泣いた。
そこでジョーはスーザンも連れて行くことにしたとビルに伝える。スーザンが欲しい、スーザンも僕を得る、邪魔するなと。
ビルはもちろん、それは愛ではない、スーザンに正体を明かしていないじゃないか、と反論。
反対されるのを分かっていてわざわざ伝えたのは、自分の判断を絶対だと思わなくなったから。

ドリューの裏切りが明るみになり、会社はビルの手に戻った。
嬉しい誕生パーティーを迎え、娘たちとも抱き合う。
ジョーとビルがパーティーを後にするのを見かけ何かを感じたスーザンが追いかけると、ジョーだけが戻ってきた。
彼は先日から記憶がないようだったが、この先スーザンは孤独ではなかった。
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Scudder's peanut butter......ローラ・スカダーがカリフォルニアで起業。ポテトチップス販売用の密封袋の先駆け。ピーナツバターの瓶は赤い蓋、赤っぽいラベル。NuttyとSmooth、現在計8種類。
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