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恋人たちの予感のkuuのレビュー・感想・評価

恋人たちの予感(1989年製作の映画)
3.9
『恋人たちの予感』
原題When Harry Met Sally...
製作年1989年。上映時間96分。 

ある男女の11年にわたる愛と友情の軌跡を描く。
製作・監督はロブ・ライナー、 
共同製作はアンドリュー・シャインマン、
脚本はノーラ・エフロン、
撮影はバリー・ソネンフェルド、
音楽はハリー・コニツク・ジュニアが担当。
出演はビリー・クリスタル、メグ・ライアンなど。

キャスト大学を卒業したサリー(メグ・ライアン)とハリーは車でニューヨークヘ向かう。
あくまでも友人同士として“いいセックス”について語り合った二人は、互いの価値観を認められず険悪なムードに。。。
10年後、31歳になったサリーは本物の恋を求めていた。再会した二人は友人としてデートを重ねるが、次第に気持ちが惹かれあい。。。

監督のロブ・ライナーは、この映画の製作直前に奥さんに
『男と女はセックス抜きで真の信頼関 係を築くことができるんやろか?』って疑問を投げかけたことが、本作品の製作につながったそうです。
妻のノラ・エフロン(作家で脚本家)も離婚経験があり、その結婚生活をもとにした私小説『ハートバーン』をみずから映画用に脚色してもいる。
そないな経験をもとに、エフロンは長年連れ添う実際の夫婦を対象にリサーチをおこない、男と女の本質的な差異やら、恋愛と結婚についての考察を巡らせてる。
その成果は、ハリーとサリーの関係をめぐるメインストーリーの要所要所に、老年にさしかかった夫婦のインタビュー映像を挿入するという本作品の巧みな構成に表れている。
今作品の解説に、
『恋愛映画には(欧米映画限定かな。小生加筆)、キリスト教的な価値観に基づくものとユダヤ教的な価値観に基づくものの二種類があると思う。
前者では、主人公たち以外の何らかの要素が恋愛の障害となるのに対して、後者では主人公の心理的葛藤が障害となる。』
この定義にのっとれば、本作品は明らかに後者の価値観に基づく恋愛映画っすね。
時代の変化に応じた恋愛の在り方を眺めっと(あくまでも映画や小説の中で。奥手なもので🙇‍♂️)、80年代には女子の社会的な立場の揺らぎや、野郎どもの中性化といった現実を背景として、結婚に価値を見いださない男女やカジュアルセックス(一夜限りの関係、愛のないセックス)と呼ばれる関係を模索する男女が増えていったんかな(かってな妄想が入ってますが)。
ハリーとサリーの恋愛は、こないな時代的背景の変遷を経て、結婚を否定するでもなく、またカジュアルセックスという割り切った関係性を求めるでもない男女の姿を反映したものであり、その新しい関係性を模索する過程で起きる心理的葛藤をすくあげた作品と云っても過言じゃないんちゃうかな。
ハリーがその心理的葛藤に一応の区切りをつけ、終盤でようやくサリーに切りだすプロポーズの言葉は、
友情から恋愛、
ほんで、また友情へ!
ちゅうプロセスを踏むことで信頼関係が築かれることを示唆してる。
なんか分かるなぁ。
ほんで、ラストシーンはこれまで登場してきた老夫婦と同じように寄り添うハリーとサリーの姿には、なんとも云えん幸福な予感が漂っているように小生は感じた作品でした。
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