ノラネコの呑んで観るシネマ

マイマザーズアイズのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

マイマザーズアイズ(2023年製作の映画)
4.0
ちょっと変わった手触りを持つSFスリラー。
チェリストの母娘が事故に遭い母は失明、娘は首から下が麻痺し、死を願うようになってしまう。
母は謎の科学者によって開発途中のスマートコンタクトレンズの被験者となり視力を回復し、娘に装着したVR装置とリンク。
娘の"アバター"となることで、生きていることを実感させようとする。
母は愛してない男との子供を産んだことを後悔しており、娘もそのことを知っている。
だからこれは、母にとっての贖罪でもある。
ところがコンタクトの開発者の父息子にもある秘められた事情と、主人公母娘との縁があり、二組の親子の倒錯した愛と欲望のドラマがぶつかり合う。
SF者としては、ディテールの甘さはどうしても気になってしまうが、アイディアそのものはなかなか斬新。
「恐怖劇場アンバランス」あたりの昭和の怪奇ものに通じるムードは嫌いじゃないな。
最終的に血の因縁に収束するのが、実に日本的だ。