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父ありき 4Kデジタル修復版のtatsuoのレビュー・感想・評価

父ありき 4Kデジタル修復版(1942年製作の映画)
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修復前の映像と見比べると、全体的に画が明るくグレーディングされていた。特に35mmフイルムのキズの状態が相当酷く、流石にそこまでは完全な修復が出来なかったのだろうが、ルックは16mmと差異が無かった。一部抜けているコマやカットがあったが、今回の4kリマスターは大変貴重な円盤だと考える。修復前のと比べる事で、本来のモノクロの画調、映像修復監修の近森氏の思うモノクロの画調やグレーディング方法を勉強出来た。
撮影は目線がレンズから離れている、アップがバストぐらいまで寄っているなど、文芸三部作や晩年の有名な時期とは違う部分がしばしば見受けられるが、ライティングは一貫して硬調で、夜の居間は人物が目立つライティングだった。また『東京物語』では無かった父親が苦しんで倒れる、臨終の瞬間など劇的な表現もあった。
最後の汽車のシーンは秀悦。
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