CINEMAと暮らす

ホモ・アミークスのCINEMAと暮らすのレビュー・感想・評価

ホモ・アミークス(年製作の映画)
2.3
挑戦的な作品。if(もしも)ものを作る場合、物語上の嘘(文学装置)は1つが限界だと私は考えている。それがタイムマシンであれ、異星人であれ、現実世界に存在しないものが1つ以上出てくると、娯楽映画として捉えてしまう。私にとって、娯楽映画は物語性に優れていなくとも、ド派手な映像や物語以外の要素で補って楽しめる作品という認識だ。

この作品は娯楽映画を目指しているのではなく、人間と他の生物との共存を、「物語」を通して伝えたい作品だと考えている。物語上の嘘は「ホモ・アミークス」という人型生物で、生体実験に使われている。

動物を使った生体実験は現実に行われており、これを人間に置き換えることで、現実を批判する力を高めている。しかし、ホモ・アミークスと人間の共存に至る説得力を持たせるだけの描写が足りなかった。

ホモ・アミークスとの交流の入口は、他の個体との差異であり、その差異は指をしゃぶる仕草で表されている。私はここで、物語を追うのを渋ってしまった。嘘とまでは言わないまでも、田代のように、指をしゃぶる仕草で愛に似た感情を感じるのは難しかった。きっと脱走に至ったのは、田代だったからだと、自分と作品との間に壁が生まれてしまった。