こうみ大夫

瞼の転校生のこうみ大夫のレビュー・感想・評価

瞼の転校生(2023年製作の映画)
3.3
色々と無理矢理感はあるが、絶妙なギャグセンは良かった。パティファイブと言いながら3人というね笑
あくまで大衆演劇を正面から真面目に描こうとする作品だったけど、ある一つの季節を、子供たちの物語としてドタバタに描くだけでも良かった。こういうジャンルはフロリダ・プロジェクト以来なかなか難しいと思うけど、キーなのはギャグセンと社会と「触れる」瞬間なのかもしれない。
三宅唱の新作の時に「悪役がいない」という違和感から抜けられなかったけど、これもそうかもしれない。学校を早退すること、転校を繰り返すこと、学校にそもそも来ないこと、いい年してアイドルをすること、勉強をしなければならないこと。本来誰かが「それどうなんだ!」と突っかかるはずの「悪役」が不在だ。
この作品ではそれぞれの家族に片方の親しか出てこない。母の不在。父の不在。世の中と同じく、映画もまた「悪役」をやりたがらない時代なんだなぁと思う。でもそれは本当に社会と触れているんだろうか。
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