杉咲花さん、若葉竜也さん、戸田監督の公開記念舞台挨拶付き上映で鑑賞。
私は映画を見る時に前情報を極力入れずに見るのだが、本作は映画館で予告を見てしまい、予告の時点で◯◯◯の話だなというのが分かった。これは多くの人がわかるだろうことなのでネタバレとも言わないような気がするが一応伏せる。
この問題は、本人に何の罪もないのに負わされる重たい十字架のようなもので、人生そのものがままならなくなる。教育や医療、労働(正当な方法でお金を稼ぐ)といった生きる上での基本的なものが抜け落ちる上、自分はこの世に存在しないことになっているという事実は精神的にもきついことだろう。愛する人と籍も入れられない。
予告からこのような話かなと思っていたら、それ以上に様々なことが入り組んださらに悲惨な話でした。時系列が行ったり来たりする作りなので、年月が表示されるのだが、序盤で小学生の時の年月がおかしくないか？と思ったら、これはわざと。年月の不一致含め、市子がこれまでどのような人生を歩んできたのかを探っていく。ミステリー要素もある作品でした。
想像以上に重いことがどんどん重なっていって、彼女の人生のままならなさ、そんな中でも生き抜こうとする姿を描いているのだと思うが、やり過ぎ感は否めない。ここまでくると彼女の実在感は薄れてしまう気がして思ったより入り込めなかったかな。私は重くて暗い作品が大好きですが、本作は間違いなく重くて暗いが少し惜しい。
ただ、演技は素晴らしい。杉咲花は賞レースに絡んでくる予感。若葉竜也と森永悠希(北くん可哀想)も良いし、若手注目株の中田青渚、石川瑠華、倉悠貴の布陣も邦画好きとしてはわくわくしました。
