かなり期待していたが、正直今作に関しては物語云々よりも何人かの役者の演技が致命的に入り込めず感情移入するのが難しかった。
誇張抜きで、アニメの声優が実写でそのまま話しているかのような発声を常にしている役者がいて、お願いだからたまには肩の力を抜いてくれと疲れてしまった。
主演の杉咲花の芝居は流石の安定感で、とても見応えがあったからこそ、他の役者との差が如実に浮き彫りになってしまっていて、同じ物語世界の住人として見られなかった。
話自体は興味深いのだが、アニメ演技以外にも子どものケンカがケンカしている風だったり、端役の台詞が説明台詞に終始していたりと詰めの甘さを感じてしまう箇所がけっこうあり、惜しかった。
また全編手持ちカメラで撮影しているのも、初めは臨場感の演出だと割り切っていたが、いくつかのシーンで演出意図を加味しても手ブレがひどいところがあり、ノイズになっていた印象を受けた。
面白い話だったが、演出がそれを映画としてより面白くしていたとはあまり感じられなかった。