今年、60本ほど観た映画の中でベストは多分この作品。
冒頭の市子が同棲相手の長谷川からプロポーズされ嬉し涙流すシーンがあるのだが、ラストにも再度見せられる。その時、冒頭みた時の印象とは明らかに違って見える。
あの涙は嬉しい涙だけじゃなく、それと同時にこの生活の潮時。どう頑張ってもこの幸せはアップデート不可能を再認識したやるせ無い感情からだろうとわかる。
またそれを主人公の内面をセリフにして言わせるというような表現手法を使わず、役者の演技力だけを頼りに見せてる。この杉咲花という女優さん、あまり知らなかったのだが驚くほど上手かった。
賛否が分かれてる、何だかハッキリしないぼんやりとした終わり方も、希望を持てないこの先の不透明な未来の暗喩のようで切ないくも味のある終幕だと思った。
後から知ったことだけど、この先進国の日本で何らかの事情で無戸籍と言われる人が1万人もいる事実にも驚くばかりだ