このレビューはネタバレを含みます
幸せになりたい人、日々幸せを求めて生きている人が大多数だと思う
そんな中で、生きる目的が生きることである人は嬉しい気持ちはちゃんとあるのだが、幸せになりそうになると苦しくなる
市子は間違いなく後者である
前者で生きていながら後者の気持ちがわかる人もいるとは思う。
過去に犯罪を犯し無戸籍で生きてきて、その人生の1部を姉の戸籍でも生きてきた市子にとって、そんな過酷な環境で育ってきたから、
普通の生活の「普通」という概念が分からない。
そんな市子に対しても優しくしてくれる人がいる。人生に深く踏み込んでこない人もいる。
そんな他者の優しさに触れて、普通の人生を歩めるのではないかと思いつつ、それが叶わないことを市子本人が1番よく知っている。
だから、市子自身が夢を見つけた時やプロポーズされた時には逃げるしかなくなるのだ。
逃げることがダメなことではない。
市子のような存在の人はきっと現実にもいる。
過酷な環境で育ってきて、アイデンティティを形成することが難しかった人、他人に踏み込まれたくない過去を持っている人、そんな人たちが社会で生きていくには、少しは生きやすくなったのかもしれない。でもその少しの希望があるからこそ辛いことも増えるのではないかと思った。
この映画は共感を求めない。
共感を求めないが共感できる部分もある
この映画にはリアリティがある
幼少期における友達との関係性、
家庭環境の違いにおける常識の違い、
男女の出会い方やきっかけ
途中からハッピーエンドは絶対に無理だということがわかるが、これ以上ないタイミングで映画が終わる。その余韻の中でのエンドロール
この映画が好きです。
主演の杉咲花さんの演技の幅がすごい。
こんなすごい俳優だったのかと。
そして最近映画でよくみる若葉竜也さん。
彼の覚悟をもって市子を探す役も素晴らしい。
きっと彼の役の過去を紐解くと、何かありそう。
時系列をバラバラに見せることで、途中で飽きることもなく、一気に観れました。