Shussissi

市子のShussissiのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.3
@テアトル新宿
「枯葉」に続いて今年2発目の劇場鑑賞は昨年観残した「市子」でした。こちらも秀作で、2024年の個人的映画鑑賞はものすごく良いスタートを切りました。
昨年の日本アカデミー「ある男」をちょっと思い出させるようなストーリーでしたが、ミステリーとヒューマンドラマが良い具合に混ざり合った本作。
この作品の素晴らしいところは主人公「市子」がただの悲劇キャラで、可哀想すぎる描写になっていないところ。全体的には負の世界のお話なのでしょうが、そこまで暗くさせない描写。そして、実は強くて悪魔のような女性でもある「市子」だと思うのですが、そういう風にも捉えさせないバランス。かなり完成度が高く作り込まれた脚本だと思います。
また、とにかく杉崎さん筆頭に演技がスゴすぎる。また、見せたくないところを微妙に見せなかったり、臨場感溢れる走りながら撮影しているかのような場面もあったりカメラワークもすごく考えられてるな、と思いました。
日本の法律の不思議なところと言いますか、このような話が現実に起こり得る環境に実在する人もいると言うのがちょっと驚きで、深く考えさせられます。あとは基本的に「市子」だけを追っかける作品ですが、実は彼女に関わる身近な男性はほぼ全員めちゃくちゃ可哀想ですね。そこの男優人の演技も素晴らしかったと思います。また、冒頭と最後と、市子がプロポーズを受ける全く同じシーンが2回あるのですが、2時間ストーリーを観た後だと全く感じ方が変わると言うのが面白かったです。


「うちな、花火好き。」
「でもな、みんなが上見てるとき、うち安心すんねん。」
このセリフにグッと来ました
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