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市子のritsukoのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

少し前に、無戸籍のひとたちを救う会を発足している方についての取り組みをYouTubeで見た。わたしは興味を持って動画に夢中になった。生まれて、「普通」に生活ができることの有り難みを幼い頃は全く知らなかった。当たり前、普通なんてのは本当になくて今もどこかで無戸籍で人として存在していないことにされ悩んでいるひともいる。市子は、市子として生まれ、何も悪くないのに様々な環境に苦しめられていた。嘘をつくのは、生き抜くための術。ラストシーンの穏やかで幸せなひとときの回想は、市子が親からしてもらえなかったことや当たり前の幸せの可能性さえもなかったかもしれない自分にも、人生のほんの僅かな時間でも幸せが確かにあったことが映し出されていて涙がとまらなかった。鼻歌ではじまり、鼻歌で終わる。後ろを振り返ったらそこにはリネンの黒ワンピースを纏い、つっかけを履いてにこりと笑う市子が立っていそうで、くるしい。またあの歌がきこえたら街中でも市子のことをきっと思い出すだろう。

p.s
月子ちゃんとわたし、誕生日が同じだったよ。
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