日常のどこかに、こんな人が混ざっているかもしれない、そう思えるだけで胸が締め付けられるような。
北は「市子を救ってやれるのは自分しかいない」と言ってたけど、市子にとってはむしろ逆で、最後に車ごと入水させて殺してしまっているから今の自分を過去の自分に縛る重しでしかなかった、というところが悲しいよ。
その点、長谷川は市子にとって過去を聞かれないで付き合い続けられる点で救ってくれる人だった。でも月子の遺体が見つかって逃走を選んだ時点で、長谷川も自分の過去を探る人物になってしまったから、彼は市子にとっての救世主では無くなっんだと思う。
周りの人間は市子のことを知ろうとすればするほど彼女から遠ざけられてしまうという矛盾。それがこの映画の魅力。