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市子のなのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

苦しくて2回目は観ないので、長文で記録しておく。
ずっと心臓を鷲掴みにされている感覚だった。シーンが繋がってる感じなので、見終わった後、もう一度オープニングを見返した。
そして、プロポーズを受けて市子が泣く理由が、初めと終わりで印象が真逆になる。見せ方が巧み。
カメラで撮影した写真の日付表示で「年月」を、手書きの名前の日付で関わった「人物」を見せる手法が秀逸。バラバラな配置の時系列が分かりやすい。
感情の押し付けと、映像の邪魔をしてくる音楽を憎んでいるが、この作品はそれがなく、自然や生物が発する音や、生活音がBGM的な効果を発揮している。
無戸籍、虐待、ヤングケアラー、殺人…これ以上ないくらい過酷な人生を見せつけられた後、長谷川くんとの平凡で幸せな日々の映像に、涙が止まらなくなった。好きな食べ物「味噌汁」って(泣)
市子の母親の「幸せな時もあった」という言葉が染みる。いつでも犠牲になるのは子供だが、その子供が大人になって加害者になる不幸。血縁の負の連鎖を見た。
杉咲花は、この役を抜くのが大変だったろうと想像する。キャスト皆さん素晴らしかった。
歌、晴れた空に映った映像、妹の部屋に貼ってあった絵…虹が美しくて印象的。
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