クリーム

市子のクリームのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.0
杉咲花だから、面白くなったと思うし、演技が本当に素晴らしかった。内容も最後まで展開が読めず、その展開を楽しみ、全てスッキリさせない終わり方が、程よい余韻で良かったです。あの後、どうなるんだろう?と妄想が止まりませんでした。

市子は同棲していた長谷川義則からプロポーズされるが、翌日、失踪。 長谷川の元に刑事が現れ、山中で白骨化した女の遺体が見つかり、市子を追っていると言う。刑事によると市子という女は川辺家の戸籍には存在しない。 実は市子は母が離婚したDV夫との間に離婚直前に身ごもった子供であり、DVを避けるためか、役所に出生届を提出せずに育てられたのだった。



ネタバレ↓



市子には3歳下の妹·月子がいて、筋ジストロフィーで寝たきりの生活を送っていた。 市子は月子が小学校に上がる時に月子になり代わり、学校に通っていた。 市子の行方を追っていた長谷川は、高校生の頃に市子に思いを寄せいていた北秀和にたどり着く。 北が住むアパートに市子が潜伏していた事に気づいた長谷川は、北を問い詰め、市子の過去を知る。
市子は義父にレイプされそうになり、揉み合い義父を殺してしまった。北はその殺人を目撃したが、市子を愛していた為、遺体の隠蔽に加担した。
長谷川は、次に市子の遺留品から母の居場所にたどり着き、今度は母から、 市子が高校生の頃、介護と月子の身代わりの人生に限界を感じていた市子が、月子の生命維持装置を外し、月子を殺したと言う。
仕事から帰ってきた母は、月子の遺体を見て、市子に「ありがとう」と言った。
一方、北の元に身分証を持った北見冬子という自殺志願者が現れる。 そこに市子から北に電話が入り、冬子と一緒に自分が今いる場所に来て欲しいと言う。2人は、車で向かい市子と会った。
次の日、海中に落ちた車の中から男女2人の遺体が見つかった。
鼻歌を歌いながら田舎道を市子が歩いているシーンで映画は終わる。

無戸籍の壮絶な人生を送らざるを得なかった市子。母親は助けて等くれず、月子を殺した市子にありがとうと言う始末。何処かで、壊れたのだろう。月子を殺す時には既に感情は無い様に思えた。市子は自分が生きる手段として、他人を殺める。罪悪感等持っていない。そんな、闇深い女性を杉咲花が演じるなんて、思ってもみなかった。可憐な笑顔から覗く、闇にゾクゾクした。面白かったです。モンスター市子、最高でした。
PASCOのCMで、ニコニコしながらパンを出す杉咲花は、暫く観れない。
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