市子のおみそのネタバレレビュー・内容・結末

タイトルに「市子」と冠し、市子の数奇な人生にスポットを当てたこの作品。作品の出来の良し悪しは間違いなく主役「市子」演じる役者の演技力にかかってくるわけだけど、この責任重大な市子役を杉咲花さんは見事に演じ切っていて、その表現力をしてこの作品を支え成り立たせている。なので市子に惹きつけられない人にはだいぶ退屈な作品なんじゃないかなって勝手に思ってる。とはいえ市子以外も個性的でいい味したキャラが揃っていて、本当に役者の演技力ありきの作品なんだと感じる。

複雑な家庭環境で育ち自分の人生を生きることを許されなかった市子。市子はただ自分の人生を生きるという当たり前のことと、ささやかな幸せを手に入れたかっただけだと思う。その手段として殺人に手を染めるサイコパスっぷりも発揮していくわけだけど。

ひとつどうかと思ったのが、普通に見ているだけだと市子の家族の事情がイマイチ分からないという点。途中警察署での死体遺棄事件の捜査シーンでホワイトボードに書かれていた市子の家族関係を一時停止して読んだことで自分は把握できたけど、映画館で見たら一時停止なんてできないし、物語の流れだけではおそらく理解が追いつかない気がした。