サマータイムブルース

市子のサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.1
「52ヘルツのクジラたち」に続けて杉咲花ちゃん目当てで鑑賞
こっちの方が映画としての完成度が高いと感じました

杉咲花ちゃんはぐっさんと一緒に回鍋肉食べてた頃に比べてグッと大人っぽくなって魅力的でした
多分この役は彼女でないと演じ切れなかったのではないかな、そんなふうに感じました

始まった時から重苦しい雰囲気、市子(杉咲花ちゃん)の人生に圧倒されて、最後まで一気見してしまいました

サスペンス仕立てなので、あまり内容に触れるとネタバレしちゃうので、感じたことを徒然なるままに・・・

邦画のサスペンスものって、情感溢れていて良作が多い気がします
本作も名作の仲間入り認定です

設定は初め石川慶監督の「ある男」に似ているのかなと思って見始めたけど、テーマはむしろ是枝監督の「誰も知らない」に近いなと感じました

市子のいう、「どこかの家の味噌汁の匂い、幸せそうな憧れの匂い」というセリフにグッと来ました
何気ないセリフに社会から断絶された彼女の疎外感が伝わって来ました
それだけで泣ける

金持ちの家=おやつはケーキ!!って発想がステレオタイプで笑っちゃいました
スネ夫の家のイメージ
でも小学生の市子は貧乏なので4個も平らげるのでした

宇野翔平さんは名バイプレイヤーになったな、今回は刑事役、好きな俳優さんです

ストーリーは過去から現在に行ったり来たりしますが、どこを切り取ってもうだるような夏の情景が広がっていて、それがとても印象的でした
市子の滴る汗、アイスキャンディー、夏祭り、屋台、焼きそば、浴衣、扇風機、蝉の声、蝉の死骸・・・
全てが愛おしい

市子が設定的に暗くて、ボソボソ話すので、ところどころ聞き取りづらかったのはマイナスポイントです

動いている場面で、手持ちカメラを多用しているのは良かったです
人によっては酔っちゃうかも

市子を探し回るカレシの長谷川(若葉竜也さん)が彼女思いなのが伝わって来ました
「街の上で」に出ていた人か、天宮良さんの若い頃に似た雰囲気で好印象でした

プロポーズした翌日に何故失踪したのか、そりゃあカレシでなくても気になりますよね
プレゼントした浴衣に、後のシーンで「私、花火好き」てセリフが生きていました

それから、筋ジストロフィーの患者さんや、患者さんの家族が見たらこれ、どんな気持ちになるのだろうと気になりました
自宅で介護するのには限界があると思います

杉咲花ちゃん、主演作目白押しで今後も期待大です
フォロイーさんも言っていたけど、シリアスで暗い役が続いているので、今度はコメディとか明るい花ちゃんを見てみたいな