ファーストカットに映る海に海藻なのかはたまた誰かが落としたスカーフなのか、何かが漂っている。
漂流するものについての映画なのだろうか、という思いと共にもしかしたら素晴らしい作品かもという思いを持った。
しかし2カット目で空が映り更にパンダウンした先にはまたしても海が映った辺りで「どっひゃー」とひっくり返るくらい何かを裏切られた。
終盤このカットは反復されるのだけどそれも特に効果的とは思えなかった。
どうにも説明過多なダイアローグと、苛烈な感情を表現してますみたいな重たい芝居の連続で辟易するし、中盤以降は単純な答え合わせ。
シネスコも機能していないし、フィルムの日付印によって提示される時系列もおしゃれなだけで作品に寄与しているようには見えない。
終始作家の手つきが見えるばかりでどうにも乗れなかった。
力強い作品であることは確かなのだろうけど、本当に合わなかったというだけ。