やるせないという言葉がしっくり来た。
以下ネタバレ含む
映画が始まってすぐにプロポーズのシーンがあった。その時に長谷川が出したのが婚姻届であったのに私は少し違和感を覚えた。
映画の終盤で、同じシーンが繰り返されたが、この時点で私は市子の人生を観てきたわけで、その状態でこのプロポーズをみると、市子の絶望が痛いほどに伝わり、花ちゃんの演技も余すこと無くその絶望を伝えてくる。
婚姻届じゃどうにもならない。彼女の生育歴から考えると、合理的に解決する道を見つけましょう、とはならない。このささやかな幸せはいずれ間もなく壊れるのだから、もう逃げるしかないわ。
もし、指輪であったなら、市子は消えずに済んだかもしれない。別の道が拓けたかもしれない。
かつて犯してしまった罪を償うという最初の一歩に繋がったかもしれない。
制度の不備をこんなに悲しい形で人々に突き付けて、もっとしっかり考えろと言ってくる。
だから映画は必要なんだ。
