ツァラトゥストラはさくっと語る

市子のツァラトゥストラはさくっと語るのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

市子は誰なのか?
存在意義とは?
存在価値とは?

何も言えない、
言葉を失う。

皆さんはどう思いますか?
どう感じましたか?…と
現代社会に突き刺す、
色んな問題を提示している。

彼女が母親のお腹にいる頃から、
どうだったのだろう?
親も混乱している状況で
胸の内を明かせる聴いてもらえる
耳を傾ける何か諭すような言葉をかけれる
大人達が誰もいなかった。
不安定な精神状態、劣悪な環境。

妹の月子は戸籍があるにしても
彼女の難病を治療する医療環境も
自宅療養で最低限しか
受けれていないように見えた。
家族が背負うばかりで限界が来ることも
時間の問題であった。

…家族の諦めと社会の無関心。

市子は悪魔などではない。
子供の頃の彼女を見ていると、
こういう子はクラスに1人くらいはいた。
思春期になり成人年齢を過ぎ、
どんどん人格が固定されてゆき
本質化した部分がふとした瞬間
露わになっていただけなのではないか。

それでも彼女が悪魔だと言うのならば
それは社会の落とし子だ。

社会に存在しない状況で生かしておいて
自分が何者かも分からない中で
社会のルールなど存在しないだろう。

重過ぎてでも無視できない、
でも言葉がまとまらない…

それでも市子と長谷川が過ごした
3年という時間がとても幸せで
穏やかに愛を感じることができた。
それだけでも救い。


*関西出身の私が言うのもなんですけど、
関西出身ではないベテランから若手までいろんな俳優さんの関西弁聞いてて、ダントツ杉咲花ちゃんが関西弁うまいと思います。朝ドラ「おちょやん」で関西弁(河内弁に近い?)を猛特訓されてた成果ですかね👏