Mypointofview

市子のMypointofviewのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
3.0
無戸籍者は現在一万人くらいの方がいるということだったが、映画でその現状を、ほんの一部だと思うが教えてもらえた作品。

映画はこのように、つらい現実を客観的ではなく、身近に感じてもらいやすくなるという、社会的に大事な役割を果たすことができる媒体だと感じた。

杉咲花さん演じる市子は、あっけらかんとした表情とつらい現実が、まさにその立場にある人として存在しているようで、印象に残った。

中村ゆりさん演じる、スナックで働く市子の母なつみは、いつもの病弱で清楚な役とは異なり、やつれたアンニュイなキャラクターが似合っていた。エネルギー量が少ないところもまた、疲れ切った様子が出ていたが、母親というよりは、お姉ちゃんという感じ。見た目や身のこなしは良かったが、芝居のイベントに向き合うシーンの作り込みに、ドキッとさせる予想できないことをやるっというテクニックを入れると、もっと不安定感が出てよかったと思う。