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市子のmimicotのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.0
杉咲花の演技が本当に本当に素晴らしかった。この空の下のどこかに、市子が実在しているのではと思ってしまうほど。

謎の失踪を遂げた市子を探す恋人が、徐々に知っていく彼女の過去。抗えない境遇に翻弄されて生きる姿がとても悲しくて、市子のやるせない気持ちはいったい何処にぶつけたらいいのってなる。
そして、幸せになりたいという気持ちが芽生えた時、どうしようもなく胸を締めつけられた。

市子の涙。
暑過ぎる夏の日の蝉の鳴き声 滴る汗 それぞれの視線。
目が釘付けになりました。

せつないのですが..市子が歩きながら鼻歌を歌うシーンが好きです。
あ、これ..と思った瞬間、市子は今お母さんを感じてるんだ、と思った。褒めてくれた時に歌ってた鼻歌だものね。
市子は抗えない苦しみの中で生きてるけど、したたかな強さも持って生きている。決して良い母親ではないけれど、心の糧だったのかなって思った。

部屋に描いた虹の絵はとても大きな虹だったな。
いつかの、いつかの明日はいい天気になって虹が見れることを願ってます。



memo
鼻歌の歌詞

「にじ」

 にわのシャベルが一日ぬれて
雨があがってくしゃみをひとつ
 くもがながれて 光がさして
   みあげてみれば

  ラララ にじがにじが
    空にかかって
 きみのきみの 気分もはれて
  きっと明日はいい天気
  きっと明日はいい天気
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