ゆう

市子のゆうのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

杉咲花ちゃんが、深い闇を抱え、掴みどころがなくてしたたかな役を見事に演じていて圧巻。ふいに笑ったり「好き。」って言う表情がかわいい。関西弁も自然だった。
妹を見つめるシーンはゾッとした。

無戸籍というのは、名前さえもあやふやで自分が世界にいないようで不安で不安で仕方ないだろうな。
普段生きている中で、きっと市子みたいな思いをしている人は沢山いるんだろうと思うと、どんな事情があっても子どもはやっぱり親や周りの大人が守らないといけないと思った。

市子は市子として生きていたいだけなのにそれができない。
どこにいても罪悪感やいつか嫌われる不安や孤独感でいっぱいだろうし、でも人を好きになったり友達や、やりたいことを見つけたいって思う姿に苦しくなる。
だからって人を殺めるのは違うと思うけど、
プロポーズされた時の涙や、長谷川くんと過ごした日々が本当に幸せだったんだと思い出を振り返るシーンは本当に悲しい。

母にありがとうと言われた時、何か言いたかった、言ってほしかったのに鼻歌を歌う母の姿に言葉が出ないシーンと、ラストの市子の姿は涙が出た。

市子はずっとそうやって全てを背負って生き抜いていくのかなと思うと只々悲しくなる。
ゆう

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