油そば卵かけご飯

市子の油そば卵かけご飯のレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.5
庭のシャベルが1日濡れて、雨が上がって、くしゃみをひとつ
雲が流れて、光が差して、見上げてみれば



花火を見上げている人を見るのが好き
それは虹では無いけれど
同じものを見て同じような感想を持つ

どこまでも"同化"できない市子には、なにもかもが靄がかかったもの
人生の転機に置いて、何度も足を引っ張るのは産まれてきたという事実

どこまでも同じ人間でありながら、どこまでも平行線を辿る社会

欲しがらなかった彼女にとって、誰かに与えるということは誰かから奪うということ

点在する事実がひとつの線になって、蝉が叫ぶ夏の日、汗が毀れる彼女の口からはあの日と同じ鼻歌が零れる