おかちゃん

陽炎座 4Kデジタル完全修復版のおかちゃんのレビュー・感想・評価

4.2
記録
余りの良さに近日中にもう一度鑑賞したいと思った。


【2回め鑑賞】
2度観て朧気ながらテーマがみえたか!?

歴史上の偉人句➡️「おもしろき こともなき世を おもしろく」こう遺し
尼僧が➡️「すみなすものは心なりけり」と承った。この逸話を思い出す。
つまり、この世は我々が勝手に現世と思っているだけで、夢の中かもしれない。どう扱うかは、貴方次第。終盤の崩れ落ちる芝居小屋(=陽炎座)は、現世がどんなものかも解らない事を意味する。
女の怨念は、ほおずき=鬼灯であり男へと乗り移るのである。最初の情交で幻想的な交錯をし、乗り移った男はその想いで翻弄され、そして最後はその軽薄さに気がつき浮かれるのである。

エンドロールの春画目眩いたエログロは、ともすれば日本文化が美徳と持ち上げられる指向に対し庶民(=現実の世)は、綺麗事だけではない世界。その環境で踠くのが人様の生業だろうと言っているかのよう…。

もう1つ思い出したのは、原田遺作映画の大鹿歌舞伎。外伝景清の締めのセリフ「仇も恨みも、是まで是まで」。

前半部の目黒雅叙園のセットが、大正浪漫ムードに拍車をかける。このセットを観るだけでも文化審美眼的価値はある。
また、松田優作のアクションしない芸が、秀逸だった。これで彼は新境地を拡げたか…。
あと、3作品共通なのだが大楠道代の色香はハンパない。