稲浦悠馬いなうらゆうま

青春ジャック止められるか、俺たちを2の稲浦悠馬いなうらゆうまのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画を好きになれそうな映画 「青春ジャック 止められるか俺たちを2」

# 映画館で観た感想

「青春ジャック 止められるか俺たちを」といういかにもマイナー感が漂うタイトルなのだが、なかなか楽しめたし、自分も今までよりも映画を好きになれるような気がした。

役者たちの演技もなかなか光っていた。

# 井上陽水× 田中邦衛

見かけは井上陽水みたいで話し方は田中邦衛みたいな映画監督が出てくる。

とにかく話し方の癖が強い。訛りが強いし田舎大将みたいな感じ。めちゃくちゃ昭和感がある。

皮肉ではなく現代の劇でよくここまで昭和感を出せたなと思った。この監督に限らず劇全体にちゃんと昭和感が出ている。

だが後半になるにつれ、癖のある話し方にも耳が慣れてきて、キャラクターの良さが分かってくるのだった。

# 名画座

監督は支配人をお膳立てして「シネマ スコーレ」という小さな映画館を開く。名画座というのは昔の映画を上映する映画館のことをそう呼ぶらしい。

今で言うとミニシアターかな。

# 映画がテーマの映画

「映画が大好き」という気持ちには自分はまだ分からない。確かに映画館にはよく行くが、過度な熱中をしているわけではない。

映画の中で映画愛について語られるというのは、なんだか自己言及的で、くさい感じがする。だがこの映画の「映画」は良かった気がする。

# 映画監督になりたい少年

映画監督を目指す少年。友達にも映画のウンチクをよく語る。口から出てくるのは数々の映画監督たちの名前。

なんだか映画が好きというよりは「映画が好きな自分が好き」というか、映画知識をコミュニケーションのマウントに使っているような感じがする。

虚勢だけでまだ中身は空っぽの少年。

# 塾講師

やけに格好良い塾講師。ナイス。こんな先生がいたら誰だってファンになる。

全共闘時代を生き抜いてきた人なので、芯があるのだ。(たぶん)

# 映画を撮りたい女

ほぼ紅一点で彼女には昭和感がない。男臭いこの映画の中でほぼ唯一の癒し要素。

彼女も映画を撮りたかったのだが自分には才能がないと諦めてしまい、映画館の受付のバイトを始める。

少年との掛け合いもあるのだが、なんかとても良かった。

# 映画監督を任される少年

色々あって若くしていきなり映画監督を任される少年。

だがもちろんうまく出来るわけがなく、だんだんとプロデューサー役であったはずの若松監督に座を奪われて行き、立場もプライドもボロボロになる。

だがそれがコメディともなっており、会場には笑いが起こっていたし、僕も笑った。

# 井浦新

エンドロールで俳優名を見ると監督役は井浦新だった。

調べると前に映画「つんドル!」のささポン役もしていた人だ。すごいキャラクターの変わりようだ。カメレオン俳優だ。

# 監督は少年だった

この映画の監督は作品に出てきた少年「井上淳一」だった。そういうことか。

「人は人生で少なくとも1本は作品を書ける。それは自分の人生を書くことだ」的な名言が作中にも出てきたが、監督はこれを体現したことになる。

# 青春ジャック1はあるのか?

「止められるか俺たちを」という第一作が公開されていた。