魚さかな

青春ジャック止められるか、俺たちを2の魚さかなのレビュー・感想・評価

3.6
 1983(昭和58)年に作られた名古屋のミニシアターの実話。若松孝二監督を井浦新、支配人を東出昌大。
 冒頭からアラジン『完全無欠のロックンローラー』の替え歌を東出昌大が歌い、喫茶店BGMがあみん『待つわ』で時代背景は完璧。調べたら、名古屋商科大学の学生バンドのアラジンと、二人とも愛知県出身のあみんは、共にポプコン中部北陸大会で争って本選グランプリからデビューという、名古屋ゆかりの選曲らしい。
 東出昌大の芝居が好きで予備知識無しで鑑賞したので、井上淳一監督・脚本の自伝映画だとはエンドロールまで知らなかった。前半は支配人 東出昌大の視点でストーリーが進むのだが、途中から予備校生の心情に釘付けになり杉田雷麟(すぎたらいる)の芝居が上手いと感じた。
 河合塾講師(牧野剛)の成田浬(なりたかいり)が缶ビール山積みで授業するシーンが印象的。
 金本さんがキムと名乗り、井上が「在日だと良い映画が撮れるって言ってごめんなさい」と言う屋上のシーンは、終盤でほんの少しイデオロギー出す加減もちょうどいい。
 終盤の砂漠は、天国で会えたというシーンなのか、あるいは何かのオマージュなのか、わかりづらい。パンフレットを読むと、砂漠と試写会は井上監督のあえての意向らしい。映画というより再現ドラマになっている。パンフレットを買わないと意味がわからないシーンが多い映画は、良い映画ではないと思う。 2024年11本目
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