くぅー

剣のくぅーのレビュー・感想・評価

(1964年製作の映画)
3.9
2020年の映画鑑賞初めに選んだのは、ずっと気になっていた本作・・・三島由紀夫原作の小説を、市川雷蔵主演で描いた作品。

ある大学の剣道部の主将が主人公で、ひたすらに全日本大学剣道大会でのチームの優勝を目指す熱血漢であり・・・そんな彼の姿に疑問を持つ部員達らとの軋轢から、見えて来るモノがポイントとなる。

そう、キャッチコピーの一つに、「誘惑の風を斬って剣の心に生命を賭けた一学徒の異常な生涯を描く」とあり、異常という言葉が使わてるが、むしろ執着ではないかと・・・正しく強くあるべきという、ストイックに正義に固執する青年の姿が印象的。

そして、ラストでその固執がまさかの選択をするのだが、凡人の自分は思わず首を傾げつつも・・・毒されない永遠の美を良しとした原作者の姿勢を思えば、なるほどと思えた。

なお、俳優陣では、大学生役もきっちりこなす市川雷蔵はもちろん、若かりし川津祐介の存在感が良かった。

そんな訳で、諸刃の剣・・・正にこの言葉を噛みしめる余韻となりました。
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