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夜空に星のあるようにのleylaのレビュー・感想・評価

夜空に星のあるように(1967年製作の映画)
3.8
ケン・ローチ監督の映画デビュー作。弱者への優しいまなざしと社会批判を描く監督の原点ともいえる作品。処女作のせいか厳しい描写は緩め。

労働者階級の過酷な女性の話なのに、全編に流れる明るいドノヴァンの曲が独特の雰囲気を醸し出し、ドキュメンタリー風の描写でリアリティを演出している。実際の街の人を映したと思われる映像からは60年代のリアルな空気が伝わってきました。

子供を産んで間もないジョイ(キャロル・ホワイト)の夫は彼女に暴力をふるい、子供に無関心なゲス野郎。ある日、強盗をして逮捕されてしまう。夫と違って優しい夫の友人デイヴ(テレンス・スタンプ)に惹かれてつきあうが、彼も泥棒をして逮捕される…

幾人の男性と関係を持ちながらも、刑務所から帰るデイヴを待つ純な女心が、リアルな女性像に思えた。強さと希望が見えるラストカットに監督の優しさを感じます。

子供を可愛がるジョイの姿に少しホッとしました。この後にヒリヒリする『ケス』を撮っているし。とにかく子供の描写が自然で素晴らしいんです♡

執拗に描いたカメラオヤジたちのキモさには、監督のフェミニズムを感じました。

20代のテレンス・スタンプがイギリスの好青年ぽくて、ギターの弾き語りもあります。この翌年に『悪魔の首飾り(オムニバス)』や『テオレマ』などクセのある作品に出演していて薄気味悪さ(褒め言葉です)を発揮しているとは。
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