アーモンドフィッシュ

エクソシスト 信じる者のアーモンドフィッシュのレビュー・感想・評価

エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)
4.2
「エクソシスト」が公開されてから50年、午前十時の映画祭で再上映されて、ラッセル・クロウの「ヴァチカンのエクソシスト」が公開、エクソシストを世に送り出したウィリアム・フリードキンが亡くなった。そして正統な続編である、今作「エクソシスト信じる者」が公開された。そう…今年はエクソシストイヤーなのです

「エクソシスト」はホラー映画の元祖であり金字塔とも言える映画。「ヴァチカンのエクソシスト」はコメディを交えた感じでジャンルに新たな可能性を見出した作品だけど、今作は真っ向からエクソシストと勝負しにいってる感じです。その勇気に私は賛辞を送りたいです。例えばサメ映画で「ジョーズ」に真っ向から挑む作品って存在しないし、なかなか出来ることではないですよね。

物語は悪魔に取り憑かれた2人の少女とその家族を中心に描かれていきます。写真家のヴィクターと、彼の娘アンジェラ。その友人キャサリンとその家族がメイン。ヴィクターは神や悪魔を信じてないタイプで、あまり裕福ではなく家も普通の家庭って感じ。まるでオリジナルのカラス神父みたいなポジションと言えるかもしれません。一方、トニーの家は信仰心厚くて豪邸。メリン神父とクリスをミックスさせたような存在でしょうか?2つの視点が織りなし、物語を進めていく点はオリジナルをかなり意識しているなとは思いました。

クリスの登場シーンは、まるでスターウォーズのハン・ソロの登場シーンみたいにテンション上がるんですよ。あのクリスがおばあちゃんになっても生きてるんだ…そう思うと非常に感慨深いです。テレビで話すクリスのシーン、あれって昨今流行りのディープフェイクでしょうか?でも声がおばあちゃんでちょっと残念。扱いももうちょっと何とかならなかったのかなと思います。

チューブラー・ベルズが流れた瞬間は、もうテンション爆上がりです!オリジナルへのオマージュも絶妙で、エンドロールのフォントまで同じなんて、さすがですよね

ただ、ストーリー展開が地味で、2つの視点だとキャラが深掘りされないのが残念。ヴィクターがあっさり悪魔祓いを受け入れるのも、ちょっと拍子抜けでした。悪魔祓い映画の弱点って、どっちが現時点で追い詰められてるかわかりにくいことだよね。聖書の一節を長々と唱えるだけで、それが冗長に感じちゃいます。でも、ヴァチカンのエクソシストはこの点をクリアしてる感じ。だからこの点も改善できるとは思ってます。

ラストは泣けたけど、キツイシーンもあって、複雑な気分、プラマイゼロと言った感でしょうか。

どうやら今作は三部作のもよう。今後の展開がどうなるかめっちゃ楽しみです!