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エクソシスト 信じる者のsymaxのレビュー・感想・評価

エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)
3.6
"…お前を知ってる…前に会った事があるわ…"

行方不明となったアンジェラとキャサリン…家族が必死に捜索するも何の手掛かりも見つからず…二人は忽然と消えたのだ…そして三日後…突然戻って来た二人…だが、二人の様子は以前とは違っていた…

突然、暴れ、自らを傷つけ、泣き叫ぶ…常軌を逸した行動を取るアンジェラに父ヴィクターはなす術もなく…そこへ近所に住む敬虔なクリスチャンであり、看護士としてアンジェラの様子を見守っていたアンが一冊の本をヴィクターに手渡す…

"心を閉ざさないで聞いて…"

その本…50年前に悪魔に取り憑かれた少女について書かれた本を読んだヴィクターは驚愕する…アンジェラの身体にも文字が浮かんでいたのだ…"助けて"と…


ウィリアム・フリードキンが作り上げた神作"エクソシスト"のリブート的な続編…しかも新たな三部作のスタートを目撃して参りました。

"イマイチ"的な評価が多い中、不安もありましたが、私的には"まずまず"と言うところでしょうか?

副題の"Believer"が示す通り、本作では"悪魔を信じるのか?"総じて"神を信じるのか?"を問いかけ"信仰"について考えさせられる作品となっているような気がします。

アンジェラの父ヴィクターは、元々無神論者的な言動があるように見えますが、妻を亡くしてからは、あらゆる信仰を拒絶しているような気がします。

そんなヴィクターが、常軌を逸した娘の状態を目の当たりにして、否応なく信じざるを得ないところまで追い込まれますが、最後の最後まで何処か"信じられない"という気持ちがチラチラと見えまして…そこがまた面白い。

一方、キャサリンの両親は、敬虔なクリスチャン…信仰の力で最も強いはずが、悪魔に揺さぶれ、最も弱い存在となるとは…これもまた面白い…

但し、ヴィクターやアンに比べて、キャサリンの家族のバックボーンが余り語られておらず、何故、あの最後の選択をするのかが弱いのです…そこはマイナス…

プロのエクソシストが手を引く中、悪魔祓いのアベンジャーズよろしく、素人集団が団結していく様は、エンタメ度が高く…いつウォーレン夫妻が出てくるんだろって思ってたら…まさかのクリス・マクニールさんが50年ぶりに登場…しかも女優から悪魔憑きの専門家になって…でも何?あの雑な扱い…

そう納得出来ない点は多々ありつつも、"エクソシスト"をリスペクトする姿勢は評価出来ます。

"エクソシスト"では冬の街並みのショットが印象的に差し込まれていましたが、本作でも秋めいた住宅街のショットが差し込まれていました。

静かで美しい中に、ヒタヒタと恐怖がやって来る…そんな雰囲気はちょっと好き。

まだ三部作のスタートですから、評価するのは早いのかもしれませんが、次が大事、次は大事になってきますよ…期待しましょう。
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