水

悪は存在しないの水のレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
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追いやられた鹿はどこへいくのかという会話、宮下公園のホームレスの人たちと重ねて聞いていた

密閉空間(車内、屋内)ではヒリついた本音が出る
煙草の煙を換気するために窓を開けると、すこし油断してまた別の柔らかい本音が出てくる。本人たちにとってはどれも本心で真実、だけどその深さが違う

連鎖の中の一点における、悪という概念の脆弱さは暴力であり優しさであり救いであり、、、

濱口竜介の映画の好きなところって100個あるけど、今回もっともっと増えた。良すぎるし、良すぎるというか好きすぎる映画。他の映画と比べるのはもう無理があるのではないかと思ってしまうほど全く異なるフォーマットの芸術作品とさえ思える。

人間の根源的衝動や愚かさの存在を認識させるための装置的役割を持ちながら、人間が抱ける愛の物語としての側面もあり、それらを映像と音楽とで五感に直接作用させるいう、映画という枠組みで語るにはあまりにも違うなにかを体験させられているように感じた。
とにかく、濱口竜介という人間と同じ時代に生きられていることが奇跡でありそれはわたしにとっての「GIFT」でもある
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