いけ

悪は存在しないのいけのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

全然咀嚼しきれなかったという思いで劇場を後にして、しばらくしてから「窮地に追い込まれた者は自分の思いや倫理観と関係なく闘うしかない」って話だと思った。

印象的だったのは、グランピング会社2人の車のシーン。
その前の説明会で受けた印象とは全く違う印象を2人に受けた。
この人たちも毎日必死に働いて、本当はそんなこと思ってなくてもそうしなくちゃいけない状況に追い込まれているんだなと思った。男性が車内で「何でこんなことしなくちゃいけないんだよ!」って怒鳴るシーンは、平日日中の自分を見ているようだった。

巧が「野生の鹿は人を襲わないけど、手負いの鹿は逃げる力がなく闘うしかないから襲ってくる」と言っていたけど、これは人間も一緒だなと思った。
心を病んで、お金や生活を人質に取られて、逃げる体力もなければ、本当はしたくないようなこともしでかしてしまう。

ラストの展開は正直ハテナがたくさん浮かんだけれど、その脈絡のなさこそが窮地に立たされた人の行動であり、この社会自体のような気もした。

子供のお迎えは忘れないでくれよとは思った。
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