なんか『ニンゲン合格』＋『カリスマ』みたいなテイストがあって、さすが黒沢清の弟子みたいな気持ちになった。薄気味悪いカメラの縦移動／横移動も、始終漂う不穏な空気も、ある意味予感的中とも言えるラストまわりの展開も、若干……いや、だいぶ意味不明なまま終わってくところも嫌いではない。
「嫌いではない」し、むしろ「好き」なくらいなんだけど、そこまで激賞する気になれないのも確か。芸能事務所コンビの車中会話とか、どうにも受け付けない要素がある。なにがマッチングアプリだよバカバカしい、となってしまった。
あの車中会話は濱口映画を観る醍醐味のひとつではあるんだけど、なんか寒イボが立つというか、センスがおじさん臭くないですか？ あと説明会のくだりは中盤のクライマックスとしてめっちゃ緊張感あって良かったのは確かだけど、うどん屋の女の喋り方が自分にとってノイズで、微妙に没入感を削がれる。
異物感マシマシの主人公がチェンソーや斧（鉈？）で丸太を切りまくるところなんかは完全にホラー映画の質感というか『ニンゲン合格』の大杉漣みあって最高だっただけに、細かいノイズがもったいないな、と思ってしまった。まぁ、自分がどうでもいいことを気にし過ぎているというのはあるんだろうけど。
