琥珀

悪は存在しないの琥珀のネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

いまさらですが、〝自然〟って何?
辞書に書いてある通りに理解するならば、

『人の手の加わっていないありのままの状態のこと』

とするならば、開拓三世である巧もその他の集落住民も、別に自然と共生しているわけではない。都会に住む人よりは山川森林に近い場所に住んでいて、都会の人よりは人の手が加わっていない燃料や水資源を利用する機会が多いだけである。山や川や森林との距離が遠いか近いか、電気や水道などの公共インフラを利用する度合いが高いか低いか、つまり都会に住む人とはその使用方法において、程度が違うというだけのこと。

こういう映画を見るときに、気をつけなければいけないのは、自然側に属する人間と都会的な現代人との対立構造のように捉えてしまうこと。

劇中で語られた〝上流に住む人間の義務〟〝それに相応しい振る舞い〟というのも同列の人間同士に成り立つ話であって、本当の自然にとっては、どうでもいいこと。汚染されようがなんだろうが、自然にとっては、どうぞご勝手に、なにしろ我々は何万年だって待てるのですから。

放課後の学童クラブに迎えにいくのを忘れてばかりの親だと、こどもに及ぶリスクが増大する。
鹿と間違われて猟銃に撃たれてしまう確率は、都会に住む人よりは、鹿の住む山の近くに住んでいる人たちの方が高い。
それだけのこと。

あれ?
自分、なんだかおかしいかも。
この映画を見た後の印象が、『人間なんてみんなクズなんじゃないか』
それしか残ってない。
どうしよう!
琥珀

琥珀