自然が豊かな高原とその住民、そしてグランピング開発のために都会からやってきた者たちを巡る不思議な話。
スタイリッシュなタイトルデザインに、森林を下から捉えた映像から始まる本作。ライブパフォーマンス用の映像制作から端を発した作品らしく、濱口監督の過去作よりも更に流れるような映像の美しさが際立つ。
そして脚本。ドライだがリアルで、独特のテンポと言い回しのセリフは今作でも興味深く、対話や会話が重なる毎に引き込まれていく。
自然の不穏さと開発者達の浅はかさを経て、思わぬ方向に舵を切る物語。その寓話的、神話的なエンディングはとてつもない余韻を残すミステリー。