このレビューはネタバレを含みます
悪は存在しない
歩み寄ることで感じる
悪は存在しない
そして、「どこかに行けばいいでしょ」の台詞で感じる
悪は存在しないことにしている人間
タイトルに対してこうも感じ方を変えられるとは
映画館でこんなに声が上がって笑いが起きる作品なのに、気付かぬうちに誘われている
冒頭が忘れられん
焦点じゃなくて、視野で観たのは初めてかもしれない
音楽と共に、その流動していくキャメラと共に、いつのまにかあの場で上を見上げている自分がいる
下に流れる
上を見る
自分が、一人で遊ぶ花の存在に気づくのはいつも巧と同じタイミングだった
あの下から眺める目線が花のものであるならば、
大人は、知らずとも、ある意味自然に、
無意識に、上から下へ流していく存在に自分はなっていくものなのだろうか
そして濱口竜介作品といえばの車内
冒頭から今回は静のカットと動のカットが組み合わされていった印象
巧が薪を割る冒頭のシーンなんて、
木の寄りから、家に薪を運びタバコを吸うところまで一連のワンカットなのに、
引いた最後の画なんて、自分の足がその世界に根付いて自分自身がそれをただ観ている木のような存在に感じたし
なんとも静かな中に流れる世界をこれ以上なく堪能し寂しくさせる