このレビューはネタバレを含みます
惚れ惚れするカットだらけだった〜〜
それそこから撮るんだ!すご!!っていうのがいっぱいあった。だけど真正面からただじっと見るカットもいっぱいあって、それはそうじゃないといけないところだった。つまるところ、対象との距離の取り方が全部ちょうどぴったりだった。やっぱり映画でも小説でもああいう文体が好きだな。
いちばんのお気に入りは1回目に巧の車が学童に入ってくる時、子供たちがだるまさんがころんだをしてて、全員ぴたっと止まってるところに車が滑り込んでくるショットかな。うわ〜〜〜えぐ〜〜って大興奮だった。
冒頭、木々を真下から撮って滑っていくの、自然に対峙する時の視線の位置としてあれしかあり得なかったと思わされた。あの土地で暮らすということは、おそらく、自然をよく観察して、知って、いつ飲み込まれてもおかしくない中で生きていくということで、冒頭からそれを予感させられた。
主演の大美賀均は濱口竜介が言うところの「スクリーンに愛される顔」を持った人だった。深い色の目がよかった。必要なことは何ひとつ取りこぼさずに、余計なことは何ひとつ言わないのがあまりにも似合ってた。煙草も、豊かな自然も。
それに花と巧の会話が本当にあの年の子供と親の会話だった。ああやって親に話しかけられていた日々を思い出すともなく思い出してしまった。
ハッピーアワーの2人がうどん屋さんをやってたのもうれしかったな。
あと映画館でみんなのクスッと笑いが重なる瞬間好き。知らない人同士だけど同じ感覚を共有してる感じがしていい。
映画全体を通して観る側がすごく信用されてる感じもうれしかった。