GWはざまの平日19時に鑑賞。満員。
東京では、今のところ下北沢(K2)と渋谷(ル・シネマ)のみの上映となっており、関心の高さに比し、上映館の数が釣り合っていない印象(ただシネコンには向いてなさそう)
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「正義」ほど胡散臭い言葉はないが、「悪」という言葉にも同様の雰囲気が感じられる。
この映画にはいくつもの相対する関係が見られる。
デベロッパー/住民、都会/地方、雇う者/雇われる者、人間/動物
住民は開発側を目の敵にする。まるで自分たちが正義であるかのように。
ただ彼らの主張は、既得権益を守りたい、ということの言い換えにも聞こえてくる。
動物にとって人間こそ害悪であるように、彼らの主張が真理であるはずがない。
デベロッパーにはデベロッパーなりの思いがある。立場によって物事の見方は変わる。
正義が存在しないのと同様に、悪もまた存在しないのである。
物語は衝撃的なラストを迎える。
手負いの鹿は反撃を加えることもある。
それもまた悪ではない、ということか。
白を基調としたオープニングに対し、ラストシーンは黒く沈み、暗い。
これもまた相対する構造を示している。