つぐみ

悪は存在しないのつぐみのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.3
怒り新党って番組でやってた「新三大」ってコーナーが好きだったんだけど、アメリカ代表テイラー・シェリダン、イギリス(アイルランド)代表マーティン・マクドナー、日本代表濱口竜介、新三大に定義していいんちゃいます??
ゴダールとかロメール(結局偶像と想像見た後もロメール一切見てない)の影響もすごく言われてるし、映画祭に出品できるのは古典をたくさん見てきたからと監督本人も言っていたけど、シェリダン、マクドナーと並ぶコンテンポラリー系作家だと私は言いたい!
なんでマクドナーが出てきたかというと、シカ(スリー・ビルボード)繋がりで、シェリダンはなんとなくボーダーラインぽさもあるけどもちろんウィンド・リバーぽさもあるし、ウィンド・リバーもシカ出てたよね!ウンウンと思ったけどシカは出てなかったか、出てたらいいな笑

作品をこき下ろしたいときに「つまらなさすぎて寝た」って言う人大体語彙が貧しいという偏見がある。眠い眠くないと作品の良し悪しは全然関係なくて、つまんないときに眠れないほうがずっと辛いよ笑 何が言いたいかってめっちゃ面白いのに冒頭だいぶウトウトしちゃった笑 あのロングシャット、ドライブマイカーがアバンまで45分くらいあったのと似てた、これが濱口スタイル…石橋さんの劇伴は静謐でとても心地よい、それゆえの眠み。直前まで仕事して目が疲れてたのもあるが…

相変わらずキャスティングの妙が冴えまくってて、私の街にも巧さんがいてほしいと思うし、すごく魅力的なキャラクター。監督は自分の目の届く範囲で撮りたいから小さなチームでやりたい、フランチャイズも別にやりたくないって言ってるの納得。アントレプレナーなんだな。

決して安直な対立構造に帰着せず、会話の弾みもズレも余さず、一方作品のコアを過剰なパンチラインで説明せず(ここ一番だいじ)、バッチバチのキメ絵をかました後に、腰が抜けるようなラスト。投げっぱなしじゃなくて観客を信頼してるからやってんのよね多分。是枝さんとかは若い世代の労働環境を気にしてはるけど濱口さんは後進の育成とかどう捉えるんだろう、気になりますね。

ようやく長野ポジティブキャンペーン映画が到来したかと思ったけど、一番判定に困る。水挽町のシネマトグラフィと対照的に都内の見窄らしさが際立っていたので、ポジティブ映画なのか。ハァ長野行きたい…
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