おおたき

悪は存在しないのおおたきのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
5.0
不穏な美しさが奏でられながら、魅惑される自然の中に分け入っていく。そうして森が神話的な空間として創出されていく。

ヨソモノであるはずの観客も、神隠しにあったような子供をともに探している。

森における神は「鹿」であり、神=鹿には触れてはいけない。傷ついた神に近づいてはいけない。神に触れた罰として娘は隠される。

犠牲、生贄、供物として捧げられた男性によって娘は帰還する。

ラストの激しい息遣いに、森の怒り、その呼吸が共振する。

神は悪ではない。
神のために殺す行為は、聖書以来悪ではない。

神による秩序が保たれる空間において、「悪は存在しない」。
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