このレビューはネタバレを含みます
悪は存在するのか、しないのか、そんな話ではない。
そう思う一方、露骨なまでに赤く染められたNOTの文字と、青い湖、雪原のような、EVIL DOES EXIST の文字。NOTを血が塗られた赤のように捉えるのか。本来は全て青い文字で「EVIL DOES NOT EXIST」だったのに、血が流れるとNOTは赤く染まり、悪は存在する、に変わってしまうのか、なんてことをたくさん考えてしまう
石橋英子さんの曲が、通常ならなんでもないシーンを何層にも深くしていて凄かった。
流れは音楽→『GIFT』→『悪は存在しない』の流れで作られたそう。めちゃギフト観てーってなりました。
『水は上から下に流れる』『上の人たちは、下の人たちの反発が起きないように、責任をもたなきゃいけない』そんなセリフは、社会そのもの。だし、『俺たちもここに移り住んできた人、歴史はそんなに古くない。木も倒してる。でもバランスを越えるとおかしくなる。』私はアメリカという国にしか見えんかったです。いや、どんな土地にでも当てはまる。歴史が古ければ偉いとかではないはず。いや偉いのか。
なんかあっちを考えてはこっちを考えてしまう。
でもそんな真面目すぎる話では全くなく、マッチングアプリ出てくるし、うどん美味しそうだし、しっかりと笑い声が劇場に流れます。
で、あのラスト。自然、鹿という絶対的に悪ではない存在に対して、どう対処するのか。
娘の命が失われてるかもしれない、自然の摂理的な神秘のような瞬間に、他者を介したくなくて気絶させたのか。いろんな解釈があって、豊かになる、突き放すというよりは、余地を与えてくれてる。そんな終わり方だと思いました。
とりあえず観た人とそれぞれの考え方を聞きたい良作だと思いました。オススメです