濱口竜介最新作ということで、見ない選択肢はない!
結論としては、一見の価値はあるが、他の濱口作品の方が好き。
魅力
画面づくりのレベルの高さは相変わらずであり、特に冒頭の大自然を下アングルから移動していく撮影はまるで森の中に迷い込んだような感覚に陥り、ぐっと惹きつけられた。
また巧のキャラクターは濱口竜介作品の雰囲気と合っており、言葉数が少ない故の神秘性を備えていた。
説明会のディスカッションは、地元民の理知的な態度のおかげで、反対派、賛成派などの単純な二項構造に陥っておらず、もっと踏み込んだ内容となっており、心を打った。また年を取ったせいか、杜撰な説明をさせられる企業側の2人に感情移入してしまい、なんだか居た堪れなくなってしまった笑
不満点
物語の展開は終盤まで本当にトロくて、退屈に感じるのも事実。そして、この作品の肝となるのは唐突なラストの展開だと思うが、濱口作品の対話を重ねることによる一種の救いが訪れるシーンが好きな僕には、あまり乗れなかった。
分からなさが売りだと思うし、後から思い出して楽しむタイプの作品なのは分かるが、単純な感動度合は他の濱口作品のほうが上であった。