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悪は存在しないのCUのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.2
とりあえずの4.2である。

作品の舞台は長野県の山奥であり、そこに東京の芸能事務所がコロナの補助金狙いのためグランピング施設を建設しようと画策する。事務所の職員2人と住民との間で説明会が開かれるが交渉は決裂。職員たちはただ1人中立意見であった主人公のタクミに連絡先を聴き、関係を構築しようとするが…


他の人も書いている通り、この作品の感想を書くのはとても難しい。というのは、いちいち説明するタイプの映画では無いため、観る人によって幾通りもの解釈が存在する。特にラストに関する解釈が。しかも1人の中に複数の解釈が生まれる可能性があり、自分自身もいくつかの解釈をしている。

それにしても、いくつもの解釈が生まれ、解釈が定まらないのは何故だろう。2つの大きな出来事がラストシーンには共存している。おそらく、それが解釈を難しくさせており、その2つの出来事の間に繋がりがあるのか無いのかわからないことが作品を難解に感じさせるのかもしれない。

だから、ただただ受け止めるのが良いのかもしれない。あの時、2つの出来事が同時に起きていて、それは共存し成立しており、共存し成立し得ていたのだと。自然、そして暴力。

しかし、観た人にこんなに考えさせるなんて凄い映画なわけで、面白い面白くない以前にやっぱり大傑作なんだろうと思う。ただ、大声で「わかんない」と叫びたい気持ちがないわけではない。映画が終わった後の、人々のザワザワ感と「なんで!?」と呟く小さな声。正直な感想、それだよな。
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