さわだにわか

悪は存在しないのさわだにわかのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
3.6
こんなヨーロッパの人が見たがる「日本映画」を客の要望に応じて作っただけの工芸品みたいな映画をいい大人が5点5点満点だと褒めそやすその背後には密かなナショナリズム(日本人はやっぱりすごいんだ!)も見え隠れして薄気味悪いものだ。ラストの解釈なんかあんなもん「俺の世界に入ってくんな」ってだけだよ。鹿の生息地に人間が入っていって鹿狩りしたら鹿だって「俺の世界に入ってくんな」って思うでしょ。主人公はそれまでそう思っていてもはっきり言えなかったが悲劇的な状況でその感情を爆発させる。濱口竜介は保守的な映画監督で、平和な内の世界と外の世界との対立と、開かれたと思った内の世界への再引きこもりをいつも描く監督です(グランピング云々の話が脱線して個人の話に収束するのがその表れ)

ゴダールだなんだと言ってるやつは誰もその程度のことさえわかってないしゴダール映画だってちゃんと見れているか怪しいものだ。まったくどいつもこいつも作品じゃあなく権威ばかり見ていて、自分もその権威を笠に着ようとしていて、イヤになっちゃうね。誰も映画になんか興味がないんだろう。盛り上がれればそれでいいと思ってる観客だらけという意味で、これはミニシアター版の名探偵コナンだよ。
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