コミナミ

悪は存在しないのコミナミのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.3
……分からん!
というか、いきなりボディブロー食らってびっくりしちゃった感覚に近い!

まず、美しい自然と洗練されたカメラワークに酔いしれました。世の中の流れと逆行するかのような長回しシーンが多く、映画館という空間も相まって没入感が凄かった。音楽も美しかったなぁ。

これぞ濱口監督と言える会話劇もめちゃくちゃ最高。絶妙で心地良いテンポで交わされる言葉の端々に登場人物の血が通っている。
特に、芸能事務所の人間が車内で繰り広げる会話はこの作品のハイライトの一つと言えるし、そこで垣間見える生々しさが物語に厚みを与えているように感じました。
濱口監督は乗り物を印象的に使いますね!言葉の表裏をしっかりと味わいたくなる脚本でした!

ラストは色々な解釈があると思うんですけど、正義の裏を返せばそれぞれの都合を押し付ける行為だし、各々が正しいと思うからこそ、絶対的な悪は存在しないのかなぁと。
時には感情が理屈を追い越すこともあるし、それはこの監督が一貫して描いていることだと思ってます(間違ってたらすまんね)。

濱口監督作品では定番(?)の棒読みな演技ですが、感情が分かりづらいからこそ、我々がラストで受け取るものが大きいし、それが振りになってるのが凄いなと個人的には思いました!

敢えてミニシアターでの公開に限定してるのも拘りを感じてめちゃくちゃ良いですよね。
コミナミ

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