この世界で嫌いな言葉その1「着工は遅らせられない」その2「竣工も遅らせられない」その3「だけどなんとかしろ」
脳皮のような冬枯れの枝を煽るロングショットのオープニングから、時間を止めたような子どもたちのだるまさんが転んだ、車の背に取り付けられて振動を共にするカメラによるシークエンスのショット。序盤、画角と技法に目を凝らしているうちに、濱口のいつもの不自然でいささか堅苦しい台詞は、中盤には都会人の間の抜けた会話のユーモアさに変換され、いつの間にか夢中になってしまう。そして転げ落ちるように終盤。
あと2時間はあるかと思った応酬が、銃声のように、ひと裂きで終わりを迎える衝撃。崖から突き落とされたまま、劇伴と共に墜落している。どうしたらいい?(もう1回観ろと?)