IT坊や

悪は存在しないのIT坊やのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

濱口竜介作品。
ドライブマイカー未見なのですが、評判良いので鑑賞。うん!途中まで凄く良かった!

最初、田舎での所謂「丁寧な暮らし」的な映像をずっと見せられて困惑したのですが、冬の寒さや透き通る空気が伝わってくるようで、何だか好感が持てました。
また、後に水や自然の大切さを説くにあたっても、この描写はなくてはならないと思います。

次に、説明会のシーン。
ぼくは民間企業には勤めていないので、こういう企業と地元の対立、みたいな構図とは縁遠いのですが、ここも面白かった。

郷に入れば郷に従え、と言うけれど、その土地の人毎に大切にしている価値観があって、そこへの共感は簡単じゃないし、対話が必要なんだなと。
「水は低いところに流れる」「上に住むものには責任が伴う」という話も示唆的だし、ヒリつく雰囲気も興味深かったです。

そして、企業側の本音シーン。
無愛想に見えた男性担当者も、社長や企業の意向に従ってただけで、本当は計画が無茶だと分かっていたり、住民側の考えに理解を示していたり。立場や余裕のなさがそうさせていただけで、「悪は存在しない」んだなぁと。

社長や上司?もクズに見えたけど、あの人たちにも、きっと描写されてないだけで、それなりの事情や立場があるんだろうなと。

これは上質な物を観てるぞ!とテンション上がっていたのですが…。
ラストは何…???

いきなり首絞めて、森に消えていって。急に作風が抽象的になった印象で、うまく消化することが出来ませんでした。

無理に考察するなら、内心、たくみさんは娘と一緒に心中することを望んでた、とかでしょうか?母が亡くなっていたようだし、その後を追いたい気持ちがあったとか?
何度も娘の迎えを失念してたのも、1人で帰らせて、そういう機会が来るのを心のどこかで待っていた…、、とか?

かなーり無理があると思うのですが、かといって、他に思いつく事もないし。考察動画を見まくるしかないですね…!
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