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悪は存在しないのtntnのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.3
「悪は存在しない」と言い放つことは、今そこにある危機を「上から下」の循環という極めて明確な論理で以て説明すること。
人も自然も、死さえも象徴化に落とし込まないのは誠実さ、なんなら矜持すら感じる。
言葉が本音や本性の単なる媒介ではあり得ず、その場の雰囲気や周りの人との相互作用の中で動くものだとするなら、「言語にできない」わからなさは放置されるべきではないと思ったりする。この厳格さは、ダグラス・サークのメロドラマが教えてくれたことでもある。
『天はすべて許したまう』における雪原の鹿は、中産階級から森の生活への単純な憧憬を相対化していたのだなと、この映画を見て納得。
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