このレビューはネタバレを含みます
ネタバレになっているかも。な感想です。
観終わったところですが、また観たい。
さて。
真上を向いて、森の高い木々の、折り重なる枝葉のシルエットを、首が痛くなってもずーっと上を向いたまま目を凝らして見ている、そんな始まりからして怖い。
「何十年かに一度は必ず山火事が起こる」なんていう言葉を聞いてしばらくして、枯れ草がこんもりしてる前でタバコを吸うふたり、とか、
「手負の鹿は…」なんて話が出れば、あ、誰かやられるの?て思ったりとか、
「どこで拾ったの?あそこに行ってはダメだよ」なんて言われたら、あー行っちゃうんだろうなと思うし、
斧はただそのままおろすだけ、とか、
いろんな小出しのあれこれが、いつどこで何が起こるのか…?!みたいにずっと怖かったわ〜。
冗談なのか本気なのか、親切なのか投げやりなのか、動かない表情。態度からはっきりとは分からない主人公・巧がずっと怖かった。
よくアメリカ映画であるけれど、絶体絶命みたいな場面ほど冗談を言い合う、みたいな?芸能事務所でなぜかグランピング事業担当になった2人の社員の会話はまさにそれのようで、この2人の行く末にもハラハラしていた。
手に怪我をするくらいで済んだか、と思いきや。山の神さまは怒ってるんだぞとばかりに恐ろしいことが…。
観ているあいだ、説明のつかない不思議な感情が続く映画でした。
最後、森の木々の枝葉のシルエットの向こうにギラギラと月が見えつ隠れつ。冒頭と似てるけど、悪魔のようで聖なる映像であった。
「上流で何かあればそれは全部下流に来る」的なこと。
私はキリスト教系の学校にかよってたのですが、「みなもとにごりて清き末は無し」という歌い出しの聖歌が、このセリフで頭のなかに流れ始めました。信仰しているわけではないのですが、その、大昔使っていた聖歌集は表紙がぼろぼろだけど今も手元にあるので、開いてみました。4番まであるけどひとまず1番を。
1.
みなもと にごりて
きよき すえは なし
いのちの ながれの
はじめを つつしみ
わかき 日を かみの
みまもりに ゆだねん
【追記】
XTwitterに「(コンサル以上の)悪は存在しない」と書いてる方がいて、それかも、と思いました。
【追記2】
そうね、「LAMB」的な、バランス